「小型水槽のフィルター選びで迷っていませんか?」レイアウトを崩したくない、でもろ過能力が低いとすぐ水が汚れそうで不安ですよね。そんな悩みにはGEXの『マルチベースフィルターS』が最適です。本記事では、この底面フィルターのメリットとデメリット、詳細な特徴を徹底解説します。小型水槽を綺麗に保ちたい初心者の方は必見です。この記事を読んで、失敗しないフィルター選びを実現しましょう!
1. GEX「マルチベースフィルターS」とはどんな商品?
アクアリウムを楽しむ上で欠かせないのが、水を綺麗に保つ「ろ過システム」です。アクアリウム用品のトップメーカーであるジェックス株式会社(GEX)が販売している「マルチベースフィルターS」は、主に30cmクラスの小型水槽をターゲットにした底面フィルターとして高い人気を誇っています。
底面フィルターとは、水槽の底に敷いた砂利やソイルなどの底床(ていしょう)そのものを巨大なろ過材として利用する、古くから親しまれているろ過方式です。底床を通して水を循環させるため、水槽内に無骨なフィルター本体を設置する必要がなく、景観を美しく保つことができます。
マルチベースフィルターSの最大の特徴は、そのコンパクトさと拡張性の高さにあります。1枚の大きなパネルを敷くのではなく、小さなベースパーツを複数組み合わせて使用するスタイルを採用しているため、様々な形状やサイズの小型水槽に、まるでパズルのように柔軟に適合させることができます。また、エアーポンプと接続して気泡の力で水を持ち上げる「エアリフト式」を基本動作としつつも、同社の外掛け式フィルターや水中モーターと連結して使用することも可能な、非常に汎用性の高い製品となっています。
1-1. 基本スペックとセット内容
マルチベースフィルターSの基本的なスペックは以下の通りです。
- 適合水槽
30cm水槽用
※オプションベースの追加や配置の工夫により、30cmキューブやより小さな水槽にも対応可能 - ベースパーツの構成
1枚あたりが比較的小さく設計されており、Sサイズのパッケージにはベースフィルターが4枚付属しています。この4枚を縦横に組み合わせることで、標準的な30cm水槽の底面を効率よくカバーできます。 - セット内容
ベースフィルター×4枚、吐出口、スライドパイプ、ホルダー、パイプ、パイプホルダー、エアーストーン、エアーチューブ、ジョイントといった、エアリフト式として稼働させるために必要な基本的な接続パーツが一式同梱されています。 - 設計の特徴
砂利がろ過槽内に入りにくい薄型スリム設計。ベース部分の厚さは約1.5cmに抑えられており、底床を敷いた際の不自然な盛り上がりを防ぎます。
ベースパーツが極めて薄型であるため、小型水槽の限られた縦のスペースを圧迫せず、水量を最大限に確保しながらレイアウトの自由度を損なわない設計思想が伺えます。底面フィルターは「隠す」ことが前提の機材であるため、この薄さは非常に重要な要素となります。
2. マルチベースフィルターSのメリット
数ある底面フィルターの中で、マルチベースフィルターSが多くの初心者はもちろん、ベテランのアクアリストにも選ばれているのには明確な理由があります。ここでは、本製品が持つ優れたメリットについて、より深く掘り下げて解説します。
2-1. 小さなベースパーツで水槽サイズに合わせて柔軟に調整可能
マルチベースフィルターSの最も革新的で最大のメリットは、小さなベースパーツをブロックのように自由に組み合わせて使用できる点です。 従来の底面フィルターの多くは、30cm用、45cm用といった具合に1枚の大きなパネルで構成されていました。この場合、規格から少しでも外れた水槽(例えば奥行きが狭いスリム水槽や、真四角のキューブ水槽など)に導入しようとすると、パネルが大きすぎて入らなかったり、ノコギリなどで切断加工を強いられたりすることがありました。逆にパネルが小さすぎると、底面積に対してカバーできない無駄なスペースが多くなり、底床内に水流の淀み(止水域)が発生する原因にもなります。
しかし、マルチベースフィルターSは1枚のベースが非常にコンパクトに設計されています。これを縦横に連結していくことで、30cmの標準的な規格水槽はもちろん、30cmキューブ水槽や、少し特殊な形状の小型水槽にも、まるでオーダーメイドしたかのように隙間なく敷き詰めることが可能です。 さらに、別売りの「オプションベース(追加用ベースパーツ)」を追加購入すれば、ろ過面積を無限に広げることができます。将来的に45cm水槽や60cm水槽にサイズアップした際にも、本体を買い直すことなくベースパーツを追加するだけで使い続けることができるため、非常に拡張性が高く経済的なシステムと言えます。
2-2. 薄型スリム設計でレイアウトの自由度を奪わない
底面フィルターを使用する際、ベースパネル自体の厚みは水槽のレイアウトにおいて非常に気になるポイントです。パネルが分厚いと、その上に敷く底床(砂利やソイル)もフィルターを完全に隠すために、必然的に厚く敷かなければなりません。 小型水槽において底床が厚くなりすぎることは、水槽全体の水量が減ってしまうことを意味します。水量の減少は水質悪化のスピードを速める原因となるため、極力避けたい事態です。また、底床が前面に高く盛り上がってしまうと、水草を植栽するスペースや、魚が自由に泳ぎ回る遊泳スペースが狭くなってしまい、全体的に窮屈な印象を与えてしまいます。
その点、マルチベースフィルターSはベースの厚みが約1.5cmと、驚異的な薄型設計を実現しています。この薄さであれば、底床を必要以上に厚く敷き詰める必要がなく、水槽内の空間を広く保つことができます。水草を美しく配置した水草水槽や、コリドラスのように底面を広く使って活動する熱帯魚を飼育する際にも、フィルターの存在感を完全に消し去りながら、理想の景観を作り上げることが可能です。
2-3. スリットが細かく、砂利やソイルが入り込みにくい安心設計
底面フィルターを運用する上で、最も避けたいトラブルの一つが「目詰まり」です。ベースパネルのスリット(隙間)が広いと、そこから底床の砂利やソイルがろ過槽の内部(パネルの下の空間)に少しずつ侵入してしまいます。 砂利が内部に大量に溜まると、水が通り抜けるための流路が塞がれ、水流が滞ってしまいます。最悪の場合、水を吸い上げるパイプが完全に詰まってしまい、ろ過機能が完全にストップしてしまうこともあります。これを解消するには、水槽内の生体や水を全て取り出し、底床を掘り返す「リセット」という大掛かりな作業が必要になってしまいます。
マルチベースフィルターSは、この厄介な問題を解決するために、ベースパネルの表面にあるスリットが非常に細かく、絶妙な幅で設計されています。そのため、一般的な粒サイズの大磯砂や、水草育成用のソイルを使用しても、ろ過槽内に侵入しにくい構造になっています。 これにより、フィルター本来の高いパフォーマンスを長期間にわたって維持することができ、面倒なリセットのリスクとメンテナンスの手間を大幅に軽減することに繋がります。初心者でも安心して底面ろ過システムを長期間運用できるのは、この緻密なスリット設計のおかげと言えるでしょう。
2-4. 圧倒的なコストパフォーマンスと強力なろ過能力
底面フィルター全般の大きな魅力として、他のろ過方式(外部式フィルターや上部式フィルターなど)と比較して、本体価格が非常にリーズナブルであることが挙げられます。マルチベースフィルターSも例に漏れず、非常にお求めやすい価格設定となっており、アクアリウム初心者でも手軽に導入することができます。
しかし、安いからといってろ過能力が低いわけではありません。むしろその逆です。底面フィルターは、水槽の底に敷き詰めた砂利やソイルの全体を、水を綺麗にするバクテリアが住み着く巨大な「ろ過材」として利用します。外部フィルターの小さなろ過槽とは比較にならないほどの莫大な表面積を誇る底床を、水がゆっくりと通過することで、アンモニアや亜硝酸といった魚にとって有害な物質を、無害な物質へと分解する「生物ろ過」が非常に強力に働きます。 つまり、初期費用を圧倒的に低く抑えつつ、大型の外部フィルターに匹敵、あるいはそれ以上の強力な生物ろ過システムを構築できるという点で、そのコストパフォーマンスの高さは他のフィルターの追随を許しません。
2-5. 豊富なGEX製品群との強力な連携・拡張機能
ジェックス(GEX)製品を選択する大きな強みの一つが、自社の多彩なアクアリウム用品同士の互換性の高さです。マルチベースフィルターSは、付属のエアーストーンを使用して単体でエアリフト式として使用するだけでも十分に機能しますが、真のポテンシャルは他の機器と接続した際に発揮されます。
特に強力なのが、同社の外掛け式フィルター(「簡単ラクラクパワーフィルター」シリーズなど)のストレーナー(吸水口)と連結して使用する方法です。 外掛けフィルターと直結した場合、底面フィルターの広大な底床で強力な「生物ろ過」を行った後の水を、さらに外掛けフィルター内の専用ろ過材(活性炭マットなど)を通して「物理ろ過・化学ろ過」を行うという、ハイブリッドで強固なろ過システムを極めて簡単に構築できます。底面フィルター単体では不得意とされる、水中の細かなゴミを物理的に取り除く能力を外掛けフィルターが補ってくれるため、水槽の水は驚くほど透明度を増し、水質が長期間にわたって安定しやすくなります。
3. マルチベースフィルターSのデメリットと注意点
ここまで多くのメリットを挙げてきましたが、どのような優れた製品にも使用環境や目的によってはデメリットと感じる部分が存在します。購入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためにも、購入前にしっかりとマイナス面や注意点を理解しておくことが重要です。
3-1. 吐出パイプが太く、小型水槽の景観で目立ちやすい
ベースパネル本体は非常に薄型でスマートな設計なのですが、水を吸い上げて水槽内に戻すためのパイプ(吐出管)が、水量の確保や他製品との接続互換性を持たせるためか、やや太めに作られています。 これを30cm水槽のような容積の小さな小型水槽に設置すると、透明な水中に太いパイプが立ち上がることになり、その存在感がかなり大きくなってしまいます。せっかくベースを薄くして底床をスッキリさせても、パイプが目立ってしまっては、自然の風景を切り取ったような美しいレイアウトを目指す場合にはマイナスポイントになります。
また、パイプのカラーリングが完全な透明(クリア)ではなく、半透明のグレーのような、少しくすんだ色味である点も、人によっては人工物感を強く感じてしまい、景観を損ねると感じる場合があります。流木や背の高い水草(後景草)をパイプの前に配置して巧妙に隠すなどの、レイアウト上の工夫が求められます。
3-2. ベースパネルの強度がやや心許なく、取り扱いに注意が必要
レイアウトの邪魔にならない薄型設計を実現するため、ベースパネルのプラスチック素材の肉厚がやや薄く作られています。そのため、ベースパネル単体を手に持って少し力を入れると、たわんでしまうような柔らかさがあります。 通常、底床の下に敷いてしまえば水圧と砂利の重みでしっかりと固定されるため、普通に使用する分に割れたり破損したりするようなことは滅多にありません。しかし、レイアウトに非常に重い巨大な石(親石など)を多用してベースの一点に極端な荷重をかけたり、リセット時の洗浄でガシガシと強くブラシで擦ったりするような手荒な扱いをすると、破損のリスクが高まります。
設置の際は、水槽の底面にフラットに置き、その上から底床を均等に敷き詰めることで、全体に荷重が分散されるように配慮することが長持ちさせるコツです。耐久性という面では、昔ながらの分厚く頑丈な底面フィルターに一歩譲る部分があることは否めません。
3-3. 極端に細かい底床(田砂やパウダーソイルなど)には不向き
メリットの項目で「スリットが細かく砂利が入りにくい」と解説しましたが、それにも限度があります。コリドラスなどの底生魚の飼育で好まれる「田砂」のようなサラサラとした非常に細かい砂や、水草の種を蒔く際などに使用される粒の細かい「パウダータイプ」のソイルを底面フィルターに直接敷いてしまうと、さすがに細かいスリットの隙間から内部へと入り込んでしまいます。
ろ過槽内部に大量の砂が溜まると、水流が完全に妨げられ、底面フィルターとしての機能が著しく低下、あるいは停止してしまいます。もしどうしても非常に細かい底床を使用したい場合は、マルチベースフィルターSのベースパネルの上に、細目のウールマットを敷き詰めたり、園芸用の防草シートのような専用のメッシュシートなどを敷いてから砂を入れるといった、砂の侵入を防ぐための念入りな工夫が必須となります。基本的には、大磯砂の中目〜細目サイズや、一般的なノーマル粒サイズのソイルでの使用が最もトラブルが少なく推奨されます。
3-4. メンテナンスに手間とコツがいる(底面フィルター共通の宿命)
これはマルチベースフィルターSという製品単体のデメリットというよりは、底面フィルターというろ過システム全体が抱える共通の弱点ですが、長期間使用していると、底床内に魚のフンや食べ残しの餌、枯れた水草などが分解された泥状の汚れ(デトリタス)が大量に蓄積していきます。 外部フィルターであればスポンジをもみ洗いするだけで済みますが、底面フィルターの場合は「底床そのものがフィルター」であるため、定期的な底床の掃除が必要不可欠です。具体的には、水換えの際に「プロホース」などの底床掃除用クリーナーを使用して、底床の奥深くにザクザクとパイプを突き刺し、汚れを水と一緒に吸い出すという地道な作業が必要になります。
このメンテナンスを怠り、底床が完全に目詰まりを起こして泥まみれになってしまうと、嫌気性細菌が繁殖して水質が急激に悪化し、最悪の場合は水槽をリセット(生体を避難させ、底床を全て取り出して洗い直す)しなければならず、非常に大掛かりな労働を強いられるリスクがあります。日頃からこまめに汚れを吸い出す習慣をつけることが、底面フィルターを長期維持するための絶対条件となります。
3-5. 単体では稼働せず、別途エアーポンプやチューブが必要
アクアリウム用品を初めて購入する初心者の方が陥りやすい罠ですが、マルチベースフィルターSは、パッケージの中身だけでは水を循環させてろ過をスタートすることができません。 水をパイプから吸い上げるための動力源として、別途コンセントに繋いで空気を送り出す「エアーポンプ」と、エアーポンプとフィルターのパイプを繋ぐための「エアーチューブ」を購入する必要があります。(※短いエアーチューブは付属している場合がありますが、水槽の設置環境によっては長さが足りず、買い足しが必要になるケースが多いです)。
パッケージを見ただけで「これを買えば水槽のろ過ができる」と勘違いしてしまい、家に帰ってからポンプがないことに気づく、という失敗談は少なくありません。また、エアーポンプを使用するということは、どうしてもポンプ本体からの作動音(ブーンという振動音)や、水面で気泡が弾けるボコボコという音が発生します。寝室や仕事部屋など、静かな環境に水槽を設置する場合は、静音性の高い高級なエアーポンプを選んだり、振動を抑えるマットを敷くなどの防音対策が必要になる点も考慮しておくべきでしょう。
4. マルチベースフィルターSはどんなアクアリストにおすすめ?
ここまで深く解説してきた数々のメリットとデメリット、そして製品の特性を踏まえると、マルチベースフィルターSは以下のような目的や悩みを持つ方々に特におすすめできる、ベストバイな製品と言えます。
4-1. コストパフォーマンスを最重視し、強力なろ過システムを構築したい方
アクアリウムを始めたばかりで、まだ機材に多くのお金をかけられない方や、複数の水槽を立ち上げたいけれど予算に限りがあるという方にとって、マルチベースフィルターSは救世主となります。少ない初期投資で、底床全体を使った非常に強力で安定した生物ろ過システムを構築できるため、「とにかく安く、でも魚を病気にさせないピカピカの水を作りたい!」という切実な願いに応えてくれます。グッピー、プラティ、ネオンテトラなど、比較的小型で水を汚しやすい魚を複数飼育する水槽にも、十分なろ過能力を発揮し、水質を良好に保ってくれます。
4-2. 30cm水槽や特殊形状の水槽に、ぴったりとフィルターを敷き詰めたい方
一般的な1枚板の底面フィルターではサイズが合わず妥協していた方にとって、ベースパーツが小さく分割されているマルチベースフィルターSは非常に画期的です。30cm規格水槽はもちろん、奥行きのある30cmスリム水槽や30cmキューブ水槽などにも、ブロックを組み合わせるようにして底面全体に柔軟に、かつ無駄なくフィルターを配置することができます。底面積の隅々までフィルターを行き渡らせることで、水流の淀みをなくし、ろ過効率を最大限に引き出すことができます。「水槽のサイズに合わなくて隙間ができてしまい、気持ち悪い」というストレスから解放されたい方に強く推奨します。
4-3. シュリンプ(エビ)やベタなど、強い水流を嫌う生体を飼育する方
エアリフト式を基本とするマルチベースフィルターSは、気泡の力でゆっくりと水を押し上げるため、外部フィルターや水中ポンプのような強力で直線的な水流が発生しません。水槽全体に穏やかで自然な水流を作り出すことができます。 そのため、強い水流に流されて体力を消耗してしまうベタや、フィルターの強力な吸い込み口に吸い込まれてしまう危険性がある小さな稚エビ(ビーシュリンプなど)、または繁殖させた魚の稚魚の育成水槽には、これ以上ないほど相性の良い安全なフィルターと言えます。底床のバクテリアが豊富なため、エビの餌となる微生物が湧きやすいという副次的なメリットもあります。
4-4. すでにGEX製フィルターを持っており、ろ過能力をさらに強化・拡張したい方
すでにGEXの外掛け式フィルター(簡単ラクラクパワーフィルターシリーズ)や、上部式フィルターをお持ちの方、あるいはこれから購入を検討している方は、マルチベースフィルターSを追加購入して直結させることで、小型水槽においては「最強クラス」と呼んでも過言ではないハイブリッドろ過システムが完成します。 底面ろ過による圧倒的な「生物ろ過」でアンモニアを無毒化し、外掛けろ過による「物理ろ過・化学ろ過」で水中のゴミや黄ばみを吸着する。それぞれの弱点を補い合うこの完璧な連携は、長期間にわたって水換えの頻度を減らし、安定した水質を維持することを可能にします。GEX製品で統一することで、面倒なジョイントパーツの加工なども不要で、簡単に接続できるのも大きな魅力です。
5. マルチベースフィルターSの正しい設置方法と立ち上げのコツ
底面フィルターはその構造上、一度設置してしまうと後からやり直すのが非常に困難です。そのため、最初の設置(セッティング)が今後の水槽の命運を握っていると言っても過言ではありません。ここでは、マルチベースフィルターSの性能を120%引き出し、失敗しないための正しい設置方法と、バクテリアを定着させる立ち上げのコツを詳しく解説します。
5-1. 水槽底面の清掃とベースパネルの配置
まず、フィルターを設置する前に水槽の底面を綺麗に水洗いし、ゴミやホコリがない状態にします。底面にゴミが残っていると、ベースパネルとガラス面の間に隙間ができ、そこから底床が入り込む原因になります。 次に、マルチベースフィルターSのベースパネルを組み立てます。あなたの水槽のサイズや形状に合わせて、縦・横にジョイントパーツをはめ込んでいきます。この時、ベースパネルが水槽のガラス面から数ミリ〜1センチ程度離れるように配置するのがポイントです。ガラス面にピッタリとくっつけてしまうと、後から底床を敷いた時にガラス面とフィルターの隙間に砂利が挟まり、見た目が悪くなるだけでなく、水流の偏りを生む原因にもなります。
5-2. 吐出パイプの位置決定と組み立て
ベースパネルの配置が決まったら、水を吸い上げる吐出パイプをどこに立てるかを決定します。マルチベースフィルターSは、ベースパネルの複数の箇所にパイプを接続できる構造になっています。 パイプの位置は、レイアウトの構図(水草をどこに植えるか、流木をどこに置くか)を考慮して、なるべく目立たない後方の隅などに配置するのが一般的です。位置が決まったら、説明書に従って吐出口、スライドパイプ、エアーストーンなどをしっかりと組み立て、ベースパネルに固定します。エアーストーンがパイプの底面にしっかりとセットされていることを確認してください。ここが緩んでいると、大きな気泡が出てしまい、ろ過効率が落ちてしまいます。
5-3. 底床(ろ過材)の敷き詰め方
フィルターの設置が完了したら、いよいよ底床を敷き詰めていきます。この底床選びが底面フィルターの肝となります。前述の通り、極端に細かい砂は目詰まりの原因になるため避け、大磯砂の中目〜細目、または粒の崩れにくいソイルを選びましょう。 敷き詰める際のコツは、「フィルターの上は厚く、手前(前面)は薄く」することです。ベースパネルの上には、最低でも3〜5センチ程度の厚みを持たせて底床を敷いてください。底床が薄すぎると、水が底床を通過せずに直接フィルターに吸い込まれてしまい、ろ過が全く機能しなくなります。逆に前面のガラスに近い部分は、底床を薄く敷くことで、水槽全体を広く見せる視覚効果(奥行き感)を演出できます。
5-4. ゆっくりとした注水とエアーの供給開始
底床を敷き終わったら、水槽に水を注ぎます。この時、勢いよく水を入れてしまうと、せっかく敷き詰めた底床が舞い上がり、レイアウトが崩れたり、底面フィルターの内部に砂利が入り込んでしまったりします。 必ず、小さなお皿やビニール袋などを底床の上に置き、その上から優しく水を注ぐようにしてください。水が溜まったら、あらかじめ用意しておいたエアーポンプにエアーチューブを繋ぎ、スイッチを入れます。吐出パイプからボコボコと気泡と共に水が持ち上げられ、水槽内に緩やかな水流が発生すれば、設置は完了です。
5-5. バクテリアの定着(立ち上げ)を待つ
設置が完了したばかりの水槽には、まだ水を綺麗にしてくれるバクテリアが全く存在していません。この状態で魚を大量に入れてしまうと、アンモニア中毒で全滅してしまう危険性があります。 フィルターを稼働させたまま、パイロットフィッシュ(水質悪化に強い丈夫な魚)を少数だけ入れるか、市販のバクテリア剤を添加して、最低でも2〜3週間は水質を測定しながらじっくりと待ちます。底面フィルターは、底床全体にバクテリアが定着するまでに少し時間がかかる傾向があります。焦らず、水槽のガラス面に薄く茶ゴケが生え始めるなど、バクテリアが繁殖したサインが見られるまでは、本格的な生体の導入は控えましょう。
6. マルチベースフィルターSを長持ちさせるメンテナンス術
底面フィルターを長く、トラブルなく使い続けるためには、適切なメンテナンスが欠かせません。メリットの裏返しでもある「底床への汚れの蓄積」をいかにコントロールするかが、長期維持の鍵となります。
6-1. 日常のメンテナンス:水換えと底床掃除
底面フィルター水槽における最も重要なメンテナンスは、定期的な「水換え」とセットで行う「底床掃除」です。1〜2週間に1回、水槽の水の1/3程度を換水する際に、「プロホース」などの底床掃除用クリーナーを活用します。 クリーナーのパイプ部分を底床に深く突き刺し、砂利を吸い上げながらかき混ぜるようにして、砂利の間に入り込んだフンや泥状の汚れ(デトリタス)を水と一緒に水槽の外へ排出します。これを底面全体にまんべんなく行うことで、フィルターの目詰まりを防ぎ、常に新鮮な水が底床を通過する状態を保つことができます。ただし、ソイルを使用している場合は、強くかき混ぜると粒が崩れてしまうため、表面の汚れを軽く吸い取る程度に留めるなど、底床の種類に応じた力加減が必要です。
6-2. 吐出パイプとエアーストーンの清掃
底床だけでなく、水を吸い上げる吐出パイプの内側や、エアーを供給するエアーストーンにも徐々に汚れやコケが付着していきます。パイプ内が汚れると水流が弱まり、エアーストーンが目詰まりすると気泡が大きくなってろ過効率が低下します。 数ヶ月に一度は、吐出パイプを取り外し、専用のパイプブラシなどで内部の汚れをこすり落としましょう。エアーストーンについては、目詰まりが酷くなってきたら新しいもの(市販の細かい気泡が出るタイプへの交換もおすすめです)に交換するのが最も確実で手軽な方法です。
6-3. リセットのタイミング見極め
どれだけこまめに底床掃除をしていても、数年単位で長期間使用していると、どうしても底床の奥深くやベースパネルの下に、取りきれないヘドロ状の汚れが蓄積してしまいます。水流が明らかに弱くなった、水換えをしてもすぐに水質が悪化する、嫌な臭いがする、といった症状が現れたら、それは水槽の「リセット」が必要なサインです。 リセット時は、生体を別の容器に避難させ、水を全て抜き、底床を取り出して徹底的に洗浄(ソイルの場合は新しいものに交換)し、ベースパネルも綺麗に水洗いします。非常に手間のかかる作業ですが、水槽の環境を健全な状態に戻すためには避けて通れない道です。日頃のメンテナンスを怠らなければ、このリセットの周期を数年単位にまで延ばすことが可能です。
7. マルチベースフィルターSに関するよくある質問(Q&A)
最後に、マルチベースフィルターSの導入を検討している方からよく寄せられる質問をまとめました。
Q. モーター音がうるさいと聞いたのですが?
A. マルチベースフィルターS本体からは音は出ません。音の原因は、接続している「エアーポンプ」の駆動音(振動音)と、水面で気泡が弾ける音です。寝室などに置く場合は、静音設計を謳っている高品質なエアーポンプを選び、ポンプの下に防振マットを敷くなどの対策を行ってください。また、気泡の音は、吐出パイプの高さを調整して水面スレスレにするか、別途水流を分散させるアタッチメントを付けることで軽減できます。
Q. ソイルを使っても大丈夫ですか?
A. パウダータイプのように極端に粒が細かいソイルでなければ使用可能です。ノーマル粒(直径2〜3mm程度)のソイルであれば、ベースパネルのスリットから入り込むことはほとんどありません。ただし、ソイルは時間が経つと粒が崩れて泥状になるため、大磯砂などの砂利を使用した場合と比べて、目詰まりが早く起こりやすく、リセットのサイクルが短くなる傾向がある点には注意が必要です。
Q. 60cm水槽に使いたいのですが、Sサイズを複数買えばいいですか?
A. 60cm水槽には、初めからベースパネルが多く入っている「マルチベースフィルターL」を購入することをおすすめします。Lサイズはベースパネルが9枚入っており、60cm水槽の底面にちょうど敷き詰めやすい設計になっています。Sサイズを複数買うよりもコスト的にお得です。
Q. 外掛けフィルターと連結するメリットは本当に大きいの?
A. 非常に大きいです。底面フィルター単体では、水中に漂う細かなゴミ(物理的な汚れ)を取り除くのが苦手です。外掛けフィルターと連結することで、外掛けフィルター内のマットがその細かなゴミを物理的に濾し取ってくれるため、水の透明度が劇的に向上します。また、ろ過槽が増えることで水質安定のバッファも大きくなるため、初心者にこそおすすめしたい最強の組み合わせと言えます。
8. 終わりに
GEX「マルチベースフィルターS」は、その手頃な価格からは想像もつかないほど、奥深く、そして強力なポテンシャルを秘めたアクアリウム用品です。底面フィルターの仕組みを正しく理解し、ちょっとした工夫と定期的なメンテナンスをしてあげることで、あなたの小型水槽を美しく、そして生体にとって快適な環境へと導いてくれるでしょう。この記事が、あなたの水槽環境作りの参考になれば幸いです。

